裁判例-交通事故に関する弁護士相談についてのサイトです。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所が管理しています。

HOME 〉裁判例

裁判例

無料相談の予約、お問い合わせは 0120-141-961

裁判例:転職と休業損害 

 

東京地裁平成29年3月29日判決

転職と休業損害についての話です。

東京地裁平成29年3月29日判決。

交通事故の前後で転職があった場合、休業損害をどう算定するかが問題になります。

 

事案

今回のケースでは、事故前から転職のため、退職することが決まっていたケース。
そして、事故があった月に退職。

被害者側は、転職後に1ヶ月程度で就職できたはずとして、約1か月後から休業損害として、従前と同程度の収入による休業損害を請求。
保険会社側は転職の可能性を争います。

職種として、被害者は、証券会社に勤務し月収205万円の収入がありました。

そのうえで、外資系投資銀行への転職により、同程度の収入を得られたはずだと主張。

 

裁判所の判断

裁判所は、基礎収入については同程度の収入が得られたはずと認定。
職種や学歴、経歴から認定しています。


ただ、転職活動期間としては3か月程度は必要だったと認定し、3か月後から休業損害期間を認定しています。

後遺障害事件のところ、逸失利益についても、基礎収入は転職前の収入で認定しています。

「上記認定事実を前提に,まず休業損害の算定に当たっての基礎収入について検討するに,上記認定のとおり,原告は平成24年8月27日にFを退職しており,原告が休業期間として主張する同年10月1日から平成25年3月25日までの間,事故直近と同程度の収入が確実に得られたとまではいい難いが,他方,原告の学歴,資格,職歴及び事故直近の収入等に照らすと,本件事故がなければ上記期間のいずれかの時点では再就職し,少なくとも事故直近と同様の給与水準の収入を得られたであろう蓋然性は認められるから,基礎収入は事故直近の1年間(平成23年8月から平成24年7月まで)の収入2468万8647円を前提として月額205万7387円(2468万8647円÷12か月。1円未満切り捨て。以下同じ。)とするのが相当である。
また,休業期間については,原告の基礎収入を上記のとおりとすることとの関係から控え目に認定するのが相当であり,Fを退職後,従前と同様の給与水準の就職先に再就職するまでの期間を3か月程度とみて,休業期間は平成24年12月1日から平成25年3月25日までとするのが相当である。
よって,原告の休業損害は,以下の計算式のとおり,783万1344円を認めるのが相当である。
(計算式)205万7387円×(3か月+25/31か月)=783万1344円」

「まず逸失利益の算定に当たっての基礎収入について検討するに,前記(2)イ説示のとおり,原告は平成24年8月27日にFを退職したが,原告の学歴,資格,職歴及び事故直近の収入等に照らすと,本件事故がなければ3か月程度で再就職し,少なくとも事故直近と同様の給与水準の収入を得られたであろう蓋然性が認められるから,基礎収入は事故直近の1年間(平成23年8月から平成24年7月まで)の収入2468万8647円とするのが相当である。この点,被告は,原告が本件事故前の非常に高額な収入を本件事故後も継続して得られる保証はない旨主張するが,本件事故当時における原告の現実収入額,原告の年齢,学歴,資格及び職歴を考慮すれば,原告には本件事故前の収入を超える収入を得られる可能性もまた否定できないのであり,そのような中,特段の立証がない限り,逸失利益を算定する基準として,一般に事故直前の現実収入額を用いているのであるから,本件においても,これを別異に考える理由はない。」

 

高収入の仕事で転職中の休業損害が問題になるケースでは参考になるかと思います。


 

無料相談の予約、お問い合わせは 0120-141-961

弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

オフィス

ジン法律事務所弁護士法人

代表者:弁護士 石井琢磨

〒243-0018
神奈川県厚木市中町4-14-3
雅光園ビル702号室

TEL:046-297-4055

 

<主要業務エリア>

クリック 相談予約

ジン法律事務所弁護士法人Webサイト

厚木本店

 

横浜駅前事務所

ページトップへ