フレックス社員が通勤途中に朝食をとった際事故で、使用者責任を否定した内容です。
➡ 事案
加害者はタクシー会社のフレックス乗務員。
マイカー通勤時の早朝に、朝食のため牛丼屋に寄った後に事故。
被害者は、会社に対して使用者責任を追及。
➡ 判決内容
使用者責任を否定。
被告会社は、マイカー通勤を認め、駐車場もあった。
しかし、タクシー用の駐車場を提供していただけで、新たに駐車場を用意したわけではない。
出勤時刻は午前7時だったところ、事故は午前4時30分頃。
被告会社が、午前5時等の早朝に出勤するよう指示していた事実は認められない。
フレックス社員であり、被告会社は、加害者が実際に出勤してくるまで、出勤予定か把握していない。
事故当日、加害者は出勤していない。
加害者の運行は、朝食の摂取という個人的な行動に向けられたものであり、通勤途上と評価するのは困難。
「被告会社が、被告乙川を含む昼出乗務員について、マイカー通勤に積極的に便宜を図っていた又はマイカー通勤せざるを得ないような勤務形態を強いていたとまでいうこともできない。
そうすると、本件事故当時、被告車両の運行が被告会社の事業の執行中であるとの外形もなければ、同運行を被告会社が管理監督して利益を得るという状況にあったとも直ちには評価できない。
よって、本件事故が被告会社の事業の執行につき惹起されたものと認めることはできない」