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裁判例:高次脳機能障害

 

札幌高裁平成18年5月26日判決

高次脳機能障害が認定される際には、意識障害が継続したことがポイントになります。
しかし、この点を満たさなくても、高次脳機能障害を認定した裁判例もあります。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.28

時流に合わせた主張をしていくことが大事です。

たとえば、札幌高裁平成18年5月26日判決は以下のとおり述べています。

 


「上記の「高次脳機能障害相談マニュアル」によれば,高次脳機能障害に該当するかどうかのメルクマールとして,

交通事故による脳の損傷があること(画像所見で,微細なものでも脳萎縮又は脳室の拡大が少なくとも3ないし4か月後以内に確認されること),

一定期間の意識障害が継続したこと(頭部外 傷の意識障害として半昏睡から昏睡で開眼,応答しない状態,刺激をしても覚醒しないが,痛みや刺激に対し払いのけるような動作をするレベルが6時間以上継 続すること),

一定の異常な傾向が生じることの事項に該当する場合,高次脳機能障害の可能性があるとされ,同様の基準を示した裁判例(甲13)もある。(甲13,42)

ただし,②のメルクマールに関して,意識障害を伴わない軽微な外傷でも高次脳機能障害が起きるかどうかについては見解が分かれており,「5分間 程度の短期間の意識消失が起こる軽度頭部損傷でも,より軽い軸索損傷は起こることが明らかになっている」とする文献や似たような記述の文献もあるとの指摘 がある。」

 


「控訴人には,自動車損害賠償責任保険の算定実務や日本弁護士連合会の意見(甲42)において高次脳機能障害と診断するための要件とされている一定期間以上 の意識障害(意識不明が継続)が見られなかったが,高次脳機能障害は研究が始まったところであり厚生労働省も平成13年春にモデル事業を始めたばかりで あって,いまだ定義,原因,症状の現れ方等に関する考え方が確立していない。このような状況では,高次脳機能障害の判断が若干拡大解釈となることは必然で あり,同障害でないと絶対に言い切れない以上は同障害の可能性が高いと考えて差し支えない。「疑わしきは被害者側の利益に」という法の理念がこの場合も貫 かれるべきである。」

 


「このように見てくると,控訴人が高次脳機能障害であるかについて,本件で採用するに足りる専門家の意見は,肯定説と条件付肯定説となった。そして,当裁判 所の判断は,司法上の判断であり,医学上の厳密な意味での科学的判断ではなく,本件事故直後の控訴人の症状と日常生活における行動をも検討し(被控訴人の 主張によっても,本件事故直後から,控訴人が,本件事故に殊更有利となるような行動をし,供述をしていたということはなく,本件事故直後の控訴人の言動に 作為は認められない。),なおかつ,外傷性による高次脳機能障害は,近時においてようやく社会的認識が定着しつつあるものであり,今後もその解明が期待さ れる分野であるため,現在の臨床現場等では脳機能障害と認識されにくい場合があり,また,昏睡や外見上の所見を伴わない場合は,その診断が極めて困難とな る場合があり得るため,真に高次脳機能障害に該当する者に対する保護に欠ける場合があることをも考慮し,当裁判所は,控訴人が本件事故により高次脳機能障害を負ったと判断する。」

 

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