事故の態様によって、損害を公平に分担させるという理由から、被害者側にも落ち度がある場合には、その程度によって、一定割合を損害額から控除することになります。
過失相殺というのは被害者側にも一定の過失を想定して損害を公平に分担しようという制度なのです。
多くの事故では、被害者の過失相殺が認定され、10%が減額されるなど、一定割合の減額がされます。
どの程度の割合が控除されるかは、事故態様によって変わっています。
詳しくは「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」などを参考にして下さい。
判例タイムズなどで事故態様によって、類型化され、過失割合の基本割合が提示されています。
交差点内の事故であれば、どのような進行状況での事故だったのか、交差点の信号の有無、優先道路の有無、一時停止の有無など諸要素ごとに類型化されています。
そこで、基本割合が何パーセント対何パーセントなのかをチェックします。
ここに、修正要素が加わります。
その修正要素に、当事者に著しい過失や重過失があった場合には、修正されるという記載があることがあります。
例えば、著しい過失があったという場合には10%修正と記載されている場合。
基本の過失割合が20%だとしても、過失があると認定された場合に、30%に修正されることになります。
このような修正要素である著しい過失と重過失についてですが、抽象的な概念ために実際にどういうケースで認定されるのかわかりにくいです。
横浜地裁第6民事部は、交通事故の部署です。
ここと弁護士会で意見交換をした際に、これらの過失について説明された内容が報告されています。
具体例として出してほしいという要望に対する説明です。
著しい過失の例としては、
自転車で傘差し運転をしているケース、
駐車場でバックモニターだけを見て運転したようなケース
が紹介されています。
重過失についても、例えば、
一般道で時速100キロを超過するようなスピード運転をしていたようなケースが紹介されています。
過失相殺の修正で、著しい過失や重過失を主張する際には、このようなケースと同程度であるか意識して主張していく方が有効でしょう。