
自賠責保険からの受領額について、損害の元本ではなく、遅延損害金に充当することが認められています(最高裁平成16年12月20日)。
もともとは、自賠責保険の受領額を、損害の元本から控除する運用がされており、今もそのような請求をしている弁護士もいますし、裁判所で和解する場合も、そのような計算方法が示されることも多いです。
しかし、被害者にとって、どちらを採用するかで、大きく損害額が変わる場合があります。
例えば、平成18年1月1日の事故で、損害額7000万円、自賠責から平成20年1月1日に3000万円を受領し、平成21年1月1日に残金をもらうとします。
従来の元本から控除する計算方法だと、平成18年1月1日から4000万円の元本に5%の損害金をつけますので、平成21年1月1日の受領日には4600万円となります。
これに対し、自賠責保険からの受領額をまず遅延損害金に充当する計算方法だと、平成21年1月1日の受領日には、約4935万円となります。
損害額が大きくなればなるほど、見逃せない大きな違いになりますので、ご注意ください。