
裁判実務は、原則として150万円までで現実に支出した金額を認めることが多いです。赤い本では、これを下回る場合には、実際に支出した金額とされます。
香典や香典返しは考慮されません。
すなわち、香典については損益相殺は行わない、香典返しは損害として認めない扱いです。
150万円を上回る支払をした場合には、事情によって例外的に認められる事例もあります。
被害者の社会的な地位や、年齢、家族状況などによって、250万円程度の葬儀費用が認められた裁判例もあります。
高額な葬儀費用が全額認められるというわけではなく、実際の支出が500万円以上ということで、250万円を葬儀費用として認めた裁判例もあります。
葬儀費全額を、将来的に損害賠償請求によって回収したいというような場合には、150万円前後を基準として考えておいた方が無難ではあります。
ただ、実際の支出がこれを大きく上回るような場合には、その支出を立証できるようにしておくことで、少しでも現実の支出額に近い金額が損害として認められる可能性が上がるでしょう。
葬儀費用とは別に遺体の搬送料、墓地や墓石の購入費用を認めた裁判例もあります。
墓地や墓石については、いずれ必要になるものの、被害者がまだ若い年齢であるような場合、本来はすぐに準備しなくても良いものであったことから、損害に含まれることがあるのです。
遺体の搬送費用、遺体処置費費用についての実費部分は、比較的認められやすいです。